日本有数の内燃機トップメーカーである”井上ボーリング”さんで、88クランクオーバーホール依頼し、完成して納品されました。内容は軸ボールベアリング3個とセンターオイルシールの交換と洗浄、芯出し調整です。2007年6月から88クランクOHが可能になり、オーバーホール工賃は21000円とベアリング3個と大端ベアリング、ワッシャー、センターオイルシール代31500円で再生可能です。興味ある方はリンクから井上ボーリングさんへ問い合わせしてください。さて、このクランクを組み込み検証していきます。 |
交換するベアリングとオイルシール。もちろん新品ですよ。ベアリングはMC28クランク用で、F/W側とセンターは83B569DAという型式を使用。プライマリーギヤ側は83B569AAという型式です。88と基本ベアリングサイズは同じですが、廻り止めピンサイズが異なります。(径+0.5長さ+0.5)オイルシールも絶版ものでしたが、奇跡的に最後の在庫があったとか。 |
縦に並べて撮影したものです。ピンが写さなくてすみませんです。でもこのような順番で組み込みしますよ。 |
クランクをケースへ装着してみました。いい感じで付きましたが、やはりピンサイズが大きいので、ケースへ若干当たりが出ています。 |
このようにピン先端がケースと当たってます。ほんのわずかです。やはり少し削らないと、ケース組み込みで浮きが出るかもしれないね。 |
ピントがいまいちあってなくて、きれいに確認できませんが、実際は当たってます。3個全てです。 |
F/W側の写真だと分かりやすいでしょうか。これではちょっと不安です。 |
プライマリーギヤ側ですが、これもピントずれして見にくくすみません。しかし当たってます。 |
早速細いやすりで慎重に削っていきます。こんな感じにして、削っては装着確認と地道に加工する。 |
プライマリーギヤ側の削り加工です。3個削り約30分以上かけて仕上げました。 |
きれいに入ったF/W側ベアリング。もう少し余裕を取りたいですが、これ以上手作業ではさすがに厳しいと感じました。機械だと早く正確でしょうけど。 |
センターベアリングの装着。やや左に当たりがあるので、側面も削ります。 |
プライマリーギヤ側ベアリング装着。なんとかきれいに入りました。 |
きれいに収まったクランク。ピンがケース面から出ていないか確認します。面以下ならOKです。 |
クランクサイドオイルシールも新品交換します。奇跡的に2007年初頭では購入できました。しかし生産中止も間近でしょうね。 |
いよいよ上下ケース合体準備OKです。この状態でスムーズに回るか確認したほうがいいかな。 |
アッパーケース。きれいにガスケットを剥がしてスリーボンドの1215で塗っていきます。 |
わあー、ピンぼけしちゃった。新品のウッドラフキー。これも段差磨耗していくので新品交換が望ましいよ。 |
プライマリーギヤを純正廻り止め工具使用して締め付けする。その後クラッチアウター組み込みへ。 クランクがスムーズに回転するかも確認が必要です。新品ベアリングにシールだと結構フリクションあります。 パワーでないかも??? |
クラッチもこのように焼けてダメなので、全て交換することにした。 |
1000キロ使用した程度のいいものを入れ替え使用することに。 |
クラッチプレート組み込み完了したところ。あとはスプリングか。 |
MC16ドレンワッシャーを準備します。クラッチ強化。 |
スプリング自由長を測ります。38ミリ以下なら交換ですが、39ミリちょっとあるので再使用する。 |
強化ワッシャーを組み込みするところ。これでかなり強化されます。強化スプリングより強力です。 |
カバーガスケットを入れて、ガスケット面へオイル塗布します。ガスケットはきれいにスクレーパーで剥がしましょう。 |
フライホイールの組み込み。ボルト締め付け後はクランクが引っかかりないか確認が必要です。しかしこのスムーズさは凄い。 |
新品クランクみたいな輝きになりました。さあ、腰上組むぞー。 |
事前にシリンダー洗浄しておきました。キズもなくきれいなシリンダー、ピストンです。RCバルブを組み込みする。 |
RCバルブをシリンダーへ入れて、全開レベル確認します。これくらいだったらOK。 |
RCバルブシャフトへはグリス塗布してオイルシールを圧入します。平行になるよう慎重に。 |
ピストンの組み込み。88ピストンは廃盤ですね。状態も良く再使用します。 |
ガスケットはオイル塗布すると、次回剥がしやすいよ。 |
フロントシリンダー組み込み。状態はなかなかいいです。 |
リアシリンダー。こちらも程度がいいです。 |
リードバルブ装着前のクランク。どうです。きれいでしょ。 |
オイルポンプコイル抵抗値を測定。無限大になるとご臨終です。 |
パルスジェネレーターの抵抗値。200Ωちょっとくらいで正常。故障すると無限大になる場合があります。 |
ジェネレーターコイルの抵抗値。0.6Ωくらいで正常。 |
完成したエンジン。圧縮もOK。でもややフリクションが大きいですか。当たりが出るまで1000キロ走行が必要かもね。 |
ミッションオイルを入れて保管します。しばらく使用する予定なしです。使うのがもったいない?? |
と、このようにラックへ保管されます。いつ使用するこになるか、、、、。 クランクOHの信頼性につきまして、88赤へ搭載して乗り続けています。 700キロ時点ではまったく問題ありませんし、下から上まできれいに回るエンジンになりました。 いかがでしたか?初の公開としましたが、大事に88NSRを乗り続けていきたい方は朗報と言えます。 しかしながら、井上ボーリングさんも部品在庫が限られてますし、早めに対応検討される資料となれば幸いです。 |