88クランク再生計画

88NSRクランクはご存知の方も多いですが、廃盤になって新品購入が出来ません。クランクパーツ部品もパーツリストになく、このままでは88維持に赤信号と思われたのですが、あるNSRオーナーの方がMC28クランクベアリングを個人で取り寄せされ、88にもこのベアリングが使用できないかと検討してきました。今回の掲載は88クランク再生し使用可能までこぎつけた内容でWEBで初の紹介をしていきます。  

  日本有数の内燃機トップメーカーである”井上ボーリング”さんで、88クランクオーバーホール依頼し、完成して納品されました。内容は軸ボールベアリング3個とセンターオイルシールの交換と洗浄、芯出し調整です。2007年6月から88クランクOHが可能になり、オーバーホール工賃は21000円とベアリング3個と大端ベアリング、ワッシャー、センターオイルシール代31500円で再生可能です。興味ある方はリンクから井上ボーリングさんへ問い合わせしてください。さて、このクランクを組み込み検証していきます。
  交換するベアリングとオイルシール。もちろん新品ですよ。ベアリングはMC28クランク用で、F/W側とセンターは83B569DAという型式を使用。プライマリーギヤ側は83B569AAという型式です。88と基本ベアリングサイズは同じですが、廻り止めピンサイズが異なります。(径+0.5長さ+0.5)オイルシールも絶版ものでしたが、奇跡的に最後の在庫があったとか。
  縦に並べて撮影したものです。ピンが写さなくてすみませんです。でもこのような順番で組み込みしますよ。
  クランクをケースへ装着してみました。いい感じで付きましたが、やはりピンサイズが大きいので、ケースへ若干当たりが出ています。
  このようにピン先端がケースと当たってます。ほんのわずかです。やはり少し削らないと、ケース組み込みで浮きが出るかもしれないね。
  ピントがいまいちあってなくて、きれいに確認できませんが、実際は当たってます。3個全てです。
  F/W側の写真だと分かりやすいでしょうか。これではちょっと不安です。
  プライマリーギヤ側ですが、これもピントずれして見にくくすみません。しかし当たってます。
  早速細いやすりで慎重に削っていきます。こんな感じにして、削っては装着確認と地道に加工する。
  プライマリーギヤ側の削り加工です。3個削り約30分以上かけて仕上げました。
  きれいに入ったF/W側ベアリング。もう少し余裕を取りたいですが、これ以上手作業ではさすがに厳しいと感じました。機械だと早く正確でしょうけど。
  センターベアリングの装着。やや左に当たりがあるので、側面も削ります。
  プライマリーギヤ側ベアリング装着。なんとかきれいに入りました。
  きれいに収まったクランク。ピンがケース面から出ていないか確認します。面以下ならOKです。
  クランクサイドオイルシールも新品交換します。奇跡的に2007年初頭では購入できました。しかし生産中止も間近でしょうね。
  いよいよ上下ケース合体準備OKです。この状態でスムーズに回るか確認したほうがいいかな。
  アッパーケース。きれいにガスケットを剥がしてスリーボンドの1215で塗っていきます。
  わあー、ピンぼけしちゃった。新品のウッドラフキー。これも段差磨耗していくので新品交換が望ましいよ。
  プライマリーギヤを純正廻り止め工具使用して締め付けする。その後クラッチアウター組み込みへ。 クランクがスムーズに回転するかも確認が必要です。新品ベアリングにシールだと結構フリクションあります。 パワーでないかも???
  クラッチもこのように焼けてダメなので、全て交換することにした。
  1000キロ使用した程度のいいものを入れ替え使用することに。
  クラッチプレート組み込み完了したところ。あとはスプリングか。
 MC16ドレンワッシャーを準備します。クラッチ強化。
 スプリング自由長を測ります。38ミリ以下なら交換ですが、39ミリちょっとあるので再使用する。
 強化ワッシャーを組み込みするところ。これでかなり強化されます。強化スプリングより強力です。
 カバーガスケットを入れて、ガスケット面へオイル塗布します。ガスケットはきれいにスクレーパーで剥がしましょう。
 フライホイールの組み込み。ボルト締め付け後はクランクが引っかかりないか確認が必要です。しかしこのスムーズさは凄い。
 新品クランクみたいな輝きになりました。さあ、腰上組むぞー。
 事前にシリンダー洗浄しておきました。キズもなくきれいなシリンダー、ピストンです。RCバルブを組み込みする。
 RCバルブをシリンダーへ入れて、全開レベル確認します。これくらいだったらOK。
 RCバルブシャフトへはグリス塗布してオイルシールを圧入します。平行になるよう慎重に。
 ピストンの組み込み。88ピストンは廃盤ですね。状態も良く再使用します。
 ガスケットはオイル塗布すると、次回剥がしやすいよ。
 フロントシリンダー組み込み。状態はなかなかいいです。
 リアシリンダー。こちらも程度がいいです。
 リードバルブ装着前のクランク。どうです。きれいでしょ。
 オイルポンプコイル抵抗値を測定。無限大になるとご臨終です。
 パルスジェネレーターの抵抗値。200Ωちょっとくらいで正常。故障すると無限大になる場合があります。
 ジェネレーターコイルの抵抗値。0.6Ωくらいで正常。
 完成したエンジン。圧縮もOK。でもややフリクションが大きいですか。当たりが出るまで1000キロ走行が必要かもね。
 ミッションオイルを入れて保管します。しばらく使用する予定なしです。使うのがもったいない??
 と、このようにラックへ保管されます。いつ使用するこになるか、、、、。 クランクOHの信頼性につきまして、88赤へ搭載して乗り続けています。 700キロ時点ではまったく問題ありませんし、下から上まできれいに回るエンジンになりました。 いかがでしたか?初の公開としましたが、大事に88NSRを乗り続けていきたい方は朗報と言えます。 しかしながら、井上ボーリングさんも部品在庫が限られてますし、早めに対応検討される資料となれば幸いです。
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